ネタバレ注意
『未体験リアルタイム型・密室ゲームがスタート!』
ということで、推理好きな僕としてはタイトルからしても内容がとても気になるところです。
死にたい子どもたち…そして密室…
タイトルからは少し想像が難しかったのですが、何よりもまず監督が金田一少年の事件簿、TRICKなどを手がけた堤幸彦監督、そして若手のキャストが豪華ということもありかなり期待度が高い作品です。
観た作品
十二人の死にたい子どもたち
監督 堤幸彦
出演 新田真剣佑
橋本環奈
高杉真宙 他
作品の概要
それぞれの理由で安楽死を望み、廃病院の密室に集まった12人の少年少女は、そこで死体を見つける。死体が何者で自殺なのか他殺なのか、集まった12人の中に殺人犯がいるのか。やがて、12人の死にたい理由が明らかになっていく。
「地明察」などの作家・冲方丁のサスペンスを、『トリック』シリーズなどの堤幸彦監督が映画化。集団安楽死をするため廃病院に集まった12人の少年少女が、死体を見つけたことで疑心暗鬼に陥る。
まとめ(と独り言。)
タイトルにあるとおり、「十二人の死にたい子どもたち」が、あるサイトのつながりで、みんなで集まり安楽死をしよう…という前提のもとに始まるストーリー。
子どもたちは(と言っても俳優さんたちは皆、わりと大人でしたが…)皆それぞれに死にたい理由を胸に秘め、一番楽な方法の解決を望み廃病院に集まるのですが、ここであるアクシデントが起きていきます。
それはまず、集まった人数が12人ではなく13人…
さらに、そのうちの一人がすでにベットに横たわり息をしていない…
この集いには全員一致のルールがあるため、この状況で直ぐに安楽死を実行することができず、物語はどんどん複雑になっていきます。
まずそもそも、この謎の死体(作中では、ゼロバンと呼ばれます)は誰なのか?
なぜ先にここで死んでしまっているのか?
彼は自殺なのか他殺なのか?
他殺だった場合この中に犯人が?
謎が謎を生み、またそれぞれが疑心暗鬼の状態に陥ります。
しかし、この混沌とした謎を解く名探偵が12人の中にいました。
それは…
プレートナンバー(集いの最初に個人に割り振られる番号のようなものです…)5番、シンジロウ(新田真剣佑)。
彼は両親が警察官、そして推理好き、さらに本人がやがて命を落とすような重病を患っているせいか、薬の効能についても精通している…という設定の言わば謎解きキャラです。
実際、彼の名探偵ぶりは素晴らしく、途中で金田一少年の事件簿を見ているかのような感覚になりました。
そしていとも簡単に推理は進み、犯人もあっさりと自供…
という展開にはなりません。
なぜなら…
なんと…
「ゼロバンは生きていたのです」
おい!!
と、突っ込みどころが満載でした。笑
そもそもこの作品はところどころに伏線のようなものがまき散らされているのですが、それが非常に分かり易い。
まあこのあたりは、年齢の設定が15~18歳…ということで、目をつぶって良い…というかそもそも誰が犯人かなんてどうだっていいのでしょう。
(ただシンジロウがしきりに唇をぬぐっているのがなぜか?これは謎のままでした…。)
この作品が伝えたかったのはおそらく…
橋本環奈さんと杉咲花さんが可愛い
と言いたいところですが、真面目に考えると。
「ゼロバンが生きていて良かった」
「このままじゃ、危険だから助けよう。命を救おう」
という考えに至った点でしょう。
死にたい子どもたちが人を生かそうとする。
何とも矛盾しているようですが、これがキーポイントなのかなと。
自分は死んでもいいのに、他人が死ぬのは悲しい…
どこかで聞いたことのある言葉ですが…
そもそもこうやって集まってる時点で「せめて死の間際くらいは誰かと一緒にいたい」という気持ちもあったのでしょう。
死にたい理由は人それぞれ、他人が聞いたらそんなことで?と思う理由もありましたが、15~18歳という年齢を考えると納得ですね。
この時期はいろんなことに多感になるので…
結果的に一人も死なずに終わりますが、そもそも集いが開かれた理由は本当に全員で安楽死することだったのか?
この疑問も最後に解決します。
この点について簡単にまとめてしまうと、開催者であるプレートナンバー1番のサトシ(高杉真宙)は「死に囚われています」。
というのも、彼の父は医者だったのですが(この廃病院も父の持ち物)、家庭の複雑な事情により鬱病になり自殺してしまったのです。
この経験から、サトシは「死にたい人の気持ち」について関心を持つようになり、このような…ある意味でリアルな実験をおこなっているようです。
今回に関して言えば、サトシの実験は結果的に全員の命を救うことになりました。
ただあくまでも今回は安楽死という結末にならなかっただけで、サトシが言うには
メンバーが一致して安楽死を選んだ場合は自分も一緒に…と言っていました。
サトシくんは最後までつかみどころのないキャラクターでした。
最後の場面では、プレートナンバー7番のアンリ(杉咲花)がサトシに問い詰めた結果、今回のような集いは初めてではないことが分かり、アンリは次の集いにも参加する
意思を固めます。
彼女はどうしても集団自殺を実行し「生きることへの抗議」を成し遂げたいのでしょう…
「自殺を引き留めようとするサトシ」
「自殺に賛成するアンリ」
次回作もあるのでしょうか…気になるところです。
余談ですが、映画を観た当日、帰ってきてテレビをつけると「ハケン占い師アタル」がやっていました。
杉咲花さん…やはり、映画のときとは全く印象が違いました。…さすが女優さんですね。
僕個人の意見ですが、髪の毛が長いほうが…良いですね!いろいろと…。笑
関連作品
十二人の死にたい子どもたち (文春文庫)
十二人の死にたい子どもたち(1) (アフタヌーンコミックス)